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2017年8月27日 (日)

few,if any,「たとえあるとしてもほとんど〜ない」

以前弊塾twitterで、few,if any,「たとえあるとしてもほとんど〜ない」の解説をしました。

 

few, if  any,(little,if any,)「たとえあるとしてもほとんど〜ない」という熟語があリます。

 

>どの参考書も「few(little)『ほとんど〜ない』の強調」と説明しています。

 

>間違いです。正しいのは「noの婉曲」。

 

「彼が治る可能性はたとえあるとしてもほとんどない」というセリフを、治る可能性が少しでもある場合に言うでしょうか。

 

>治らないから「たとえあるとしても…」と言うのです。

 

>治る可能性が、少しでもあるのと全くないのでは全く違います。

 

ですから”few(little),if any"を「few(little)の強調」と説明していたら惜しいように見えて、完全に間違いです。

 

>英英辞書でsupposedly   no(おそらくゼロ)という定義がありましたが、これが正解です(noの婉曲なので)。

 


 

という解説をしました。

 

しかし実際にネイティブでもvery very very few(little)と勘違いしている場合はあるようです。

 

(ちなみにMerriam Websterの定義では"not very many or none at all "となっています。勘違いも、正しい内容も両方のニュアンスを含めた定義です。)

 

しかしあくまで正しいのは、noの婉曲です。

 

not very manyは勘違い・誤りです。

 

とは言え、確かに勘違いして覚えてしまっている人もいるでしょう。

 

私なら、相手がfew(little), if any,を使ったらDo you mean "no" or"very few"?と確認します。

 

以下に説明するようにこのfew(little), if any,は非常にずるい表現です。

 


 

会話をしているA、Bという二人がいたら、AさんとBさんの発している内容と受け取っている言語の内容は全く同一でなくてはなりません。

 

Aさんが「明日は雨だろう」と発したら、Bさんも「明日は雨だろう」と同一の言語の内容を受け取ります。

 

Bさんが「Aの言う天気予報は当てにならないから、雨じゃないだろうけどな」と思うかもしれませんが、それはあくまでAさんが「明日は雨だろう」と言ったのを受けてです。

 

やはり「明日は雨だろう」という言葉がBさんに伝わっています。

 

 

さてfew(little), if any,ですが、医者が「彼が治る可能性はありません」と言うのが忍びなくて「彼が治る可能性はたとえあるとしてもほとんどありません」There is little, if any, chance that he will get well.と言うとします。

 

「たとえあるとしても」という表現は、治る可能性が少しでもある人間には使いませんから(治る可能性がある患者さんに「(治る可能性は)例えあるとしても……」などとは絶対に言いません!)、医者の側は遠回しにno chanceということを伝えたと考えています。

 


 

しかし聞いている患者の側は「ほとんどない」と言っているから治る可能性は少しはあるのだろう、と伝えられたと考えてしまいます。

 


 

このようにAさん(=医者)とBさん(=患者)で同じ言葉を聞いているのに違うように捉えてしまう。

 

それを狙っている表現であるがゆえにこのfew(little),if any,はずるい表現なのです。

 

言葉というものは発信者と受信者の言葉は絶対に同じ内容です。

 

「私、コート脱ぎますわ」と一方の人間が言ったら、もう一方の人間も「私、コート脱ぎますわ」と相手が言ったな、と同一の内容を認識するのが言語の絶対のルールです。

 

しかしこのfew(little),if any,のようにわざと紛らわしさを狙う場合があります。

 


 

この表現に関してはすべての英文法、構文の本が騙されています。(現時点ですべての本がfew、littleの強調と記載されています。正確な内容の本があればご一報いただければ幸いです)

 

「たとえあるとしてもほとんど〜ない」という表現を聞いてすべての人が「なんじゃそりゃ?」と思うと思います。

 

そこから一歩進んで「なぜ?」と考える習慣は、英語に限らずどの分野でも大切だと思います。

 

「たとえあるとしてもほとんど〜ない」 は 正確で、素晴らしい訳です。
英語の学習者、先生方には、コペルニクスのように考えて頂ければと思います。

 

他の文法事項はぜひこちらから→池田英語塾の「神」「龍」超えの英文法

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