一般人称のYOUと学校の先生
ビートルズの"All You Need Is Love"という歌を知らない方はいないでしょう。
邦訳は「愛こそすべて」。
「Allすべては/You Need人が必要な/(は)Is Love愛だ」→「人間が必要とするすべては愛だ」→「愛こそすべて」となります。
このYouは「あなた」ではなく「すべての人々(any person in general)」を表します。(Oxford Dictionaryの定義です)
もし「あなた」という特定の人物とすると「あなたが必要とするすべては愛だ」というとんでもない意味になります。
「あなたは愛が必要な、愛のない人間だ」という意味ですから。
こんなミスをする人間はいるはずがない…といいのですが、残念なことに学校の先生がやります。
私が中学生を教える塾にいた頃、筑波大附属と慶応女子に合格した帰国子女の女子が、学校で先生に一言書け、ということで"All You Need Is Love"と書いたところ、「俺に愛が足りないというのか!?」と叱られたそうで、たいそう落ち込んでいたのを覚えています。
学校の先生が「自分が思ったことが正しいこと」と思う傾向が強いのは知っていますが、これはひどい。
しかし弊塾でも同様のことがありました。
弊塾の生徒さんで偏差値が75ほどの女性。
自由英作文でYouを使って書いたら、"You should〜"という表現が読み手への説教に聞こえるのでだめだ、Weでかきかえろとのことで…失笑せざるを得ませんでした。
東大に10名ほど合格している高校の英語教師でこの体たらく。(身に覚えのある教師はもっと勉強しましょう。英語で一般人称で一番使用例が多いのはyouです。)
学校の先生たち、もっと勉強してくださいよ。
免許とったらあなたは英語が完璧…なわけはないでしょう。
情けなさすぎて無関係の私が涙が出てきます。(同様の考えの優秀な先生もいらっしゃるとは思いますが…)
私が大学生の頃にアメリカ大使館隣のホテルの本館アーケードのゲームセンターでアルバイトをしていた頃の話です。
アメリカのスロットマシーンが置いてあったのですが、日本ではギャンブルはご法度。
しかしアメリカ人はスロットマシーンを見るとすぐにポケットをまさぐってコインを入れてゲームをしようとします。
そこにすっ飛んで行って、"You can't gamble in Japan, sir."と言うのが私の大きな仕事でした。
すると"You can't?!"と常に返されていました。
アメリカ人の感覚ではこのYouは一般人称です。
「あなた」ではなく「世の中全般の人々」です。
日本人にはYouが一般人称というのは初めは気持ち悪いでしょうが、これは「当然」の感覚にしなくてはならないことなのです。
Weは原則「我々は」で、そうじゃない人間との分断を前提とした一般人称です。
We Japanese use chopsticks when eating.「我々日本人は食事の時に箸を使います。」のような時です。箸を使わない人との分断がある一般人称です。
Theyは話者を含まない一般人称です。
They speak Spanish in Mexico.「メキシコではスペイン語を話します」のような時です。
いずれも分断を前提とした一般人称です。
そのため、weでもtheyでもないyouがすべての人を含む一般人称になったのではないか…というのが私の見解です(分断のニュアンスが無い一般認証が必要だが、weとtheyはどうしても出てくる。だからそうではないyouにその役割を委ねたのでは……。これは完全に勝手な私見です。調べて確証が持てたらこのブログでシェアします。) 。
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