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2018年8月

2018年8月18日 (土)

修飾

日本の英語の文法書・解説書は全て「修飾」という言葉で説明しています。

名詞を修飾する語は形容詞で、形容詞・他の副詞・動詞・文章を修飾する言葉は副詞、という具合です。

しかし中1の私は理解・納得できませんでした。


学校の先生が次の文章で説明をしたときのことです。

He runs fast.「彼は速く走る→彼は足が速い」
fastはrunsを修飾しているね。だから副詞だよ、とおっしゃるのですが……

中1の私には、fastはHeを修飾しているようにも思えます。(彼が速い、と修飾してるんじゃないか、飾っているんじゃないか?)
Heは名詞なのですから、それを修飾しているfastは形容詞ということになります。(でも実際には副詞なので相当混乱し、そういうものだ、と暗記すればいい、暗記するしかないんだと全てを飲み込みました)

断言します。
中1の私の疑いは決して間違ってはいません。
学校の先生が間違っています。

「修飾」という言葉、すなわち「飾る」と「修」=「あやをつけて形良く見せる」(大辞泉)という言葉からは明らかに「飾る」が修飾の意味するところと解されます。
fastは明らかにHeも飾っていますし、あやをつけて形良く見せています。
「修飾」という言葉で解する限り、fastは形容詞でもあり副詞でもあるということになります。
中1の私が悩むのも無理はありません。


結論を申しますと、「修飾」は英語を学ぶ上で正しい概念ではありません。
「限定」です。
「限定」というのは、「いろいろある中でこういうものorいろいろいる中でこういう人、と限定すること」です。

runといっても「速く」走ったり、「遅く」走ったり、「横向きで」走ったり、「人と一緒に」走ったりいろいろあります。
その中で「速く」走っているのです。
動詞を限定しているので副詞ということになります。

その一方、He「彼」はいろいろいません。
イチローはすごいね。彼は足も速いんだ。と言っているとき、Heは一人しかいません。
イチローを指していなくても、Heという時、一人の人物のみを指しています。
一人しかいないのだから、「いろいろいる中でこういう人」という限定はできません。

ですからfastはHeを限定はできません。
限定できるのはrunsのみです。
ですからfastは副詞だとわかるのです。

広辞苑の「修飾」の項目を見ると:
「体言または用言に、その表す意味を限定するために他の語を付け加えること」とあります。
「修飾」という言葉は「限定を意味する」というのは広辞苑のお墨付き。
是非「限定」で考えましょう。

しかし 「修飾」と「限定」では全くその受ける印象、一般的に意味すると考えられるところが大きく異なります。
表面的な印象とその実際の中身が大きく違うというのは大問題だと思います。
広辞苑の編纂をなさっている方は、この受ける印象と内容の大きなギャップの問題をどう捉えているのか伺いたいところです。

閑話休題
しかし日本の英語教師はそんな意識は持たずに「飾る」という意識で教えていることが問題です。
意識しているなら「修飾」と「限定」のギャップに気づき、「限定」を前面に押し出しているはずですから。
そのような正しい英語指導者はたとえいるとしてもほとんどいないことでしょう。

上記のように、日本の英語が向上しない、ダメな理由の大きな一つに「修飾」問題があります。
正確に教えられていないのに、英語ができるようになるわけがないじゃないですか。
英語だとこのことがわかりにくいでしょうから、数学に置き換えてみてください。
数学が正確に教師が教えられていないのに生徒ができるようになりますか?
なりませんよね。
英語はもっとそうなのです。(この状況で小学校から英語教えても、わからない人間が増えるだけだと思います。しかもそれが早まる。。。日本の英語の未来は闇です。)

「修飾」に関して一切説明がない本は、中1の私に「ぼーっと生きてんじゃねえよ!」と言われると覚悟していただきたく思います。


まとめると:
・英語の「修飾」は「限定」で考えてください。
・英語の「修飾語」はほぼ「限定語」です。
・どんな偉い先生でも「修飾」と言っていたら中一の私に怒られます。


ただ英語でも「修飾」の例があります。
ついでに「限定」が正しいことの証明も追加します。
それは次回のブログで。

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