(教師用に解説)鯨構文のthan以下は「絶対にないこと」だけ?(100%ありうること、の可能性もあり)
(これは生徒さんというより英語を教えている人間用の内容です。興味ある生徒さんもぜひどうぞ。)
thanの後ろは蓋然性[=事象が実現されうるか確実性の度合い]0%(「馬が魚だ」のような絶対にあり得ないこと)だけではありません。
1%〜100%まで全ての可能性の内容があります。
それを解説します。
結論として「ない」という訳は間違いと証明できるが、皆が間違えているので当面は間違った訳を続けるしかない…と続きます。
・2〜30%の例:
thanの後ろは常に蓋然性が0%のことではありません。
2〜30%程度のこともあります。
オバマ大統領がシリア難民をアメリカ国内に入れるかどいうかという時に言ったセリフが:
Syrian refugees are no more dangerous to the U.S. than tourists ( are dangerous).
(見出しは趣旨を訳してSyrian refugees are no bigger threat to U.S. than 'tourists'としていますが。これも同様の意味です。オバマが言うには1万人の難民のうち78%が女性と子供だから観光客と同程度の危険度だ、と言っています。女性と子供が78%なので、2〜30%かなあと考えています…安易かもしれませんが、0%なんてことはないです。)
https://www.washingtontimes.com/news/2015/nov/19/obama-says-syrian-refugees-no-bigger-threat-us-tou/
観光客が「100%危険ではない」「危険ではない」ということはありません。
日本の例ならコロナを国内に持ち込んだのは武漢からの観光客でしたし、アメリカなら911のテロも実行犯(ハイジャッカー)19人のうち14人は観光ビザで入国した観光客でしたし(https://spectator.org/64719_obama-says-syrian-refugees-no-more-dangerous-tourists-14-19-911-hijackers-had-tourist/ )、オバマが「観光客が危険ではない」と言ったとは…私のopinionですが、オバマは「シリア難民の危険性は一般的な観光客程度だ」と言ったのだと思います。
なのに日本の鯨構文の否定で訳すと「シリア難民は、観光客同様に危険ではない」「シリア難民が危険でないのは、観光客が危険でないのと同じだ」となり、観光客は100%安全だ、危険度0%という意味になります。
911のテロで19人中14人が観光ビザでの入国だった国の大統領の言葉ではないと思います。(同様の理由で米国の一般常識でもない)
肯定で訳すと「シリア難民が危険だというのは、観光客が危険だというのと同じだ」「シリア難民は、観光客と同程度の危険度だ」でシリア難民と観光客の危険度が同じという意味になり、適切な意味になります。
鯨構文は否定で訳すと間違えるのです。
肯定で訳しましょう。
・100%の例:
美人の女優さんAが、やはり美人の女優さんBを褒め称えているとします。
それが延々と続き、聞いている人間が若干イラつき始めます。
Bさん、確かに美人だけど、Aさん、そう言うあなただって美人じゃないか(thanの後ろが100%)。
B is no more beautiful than you are (beautiful).
B is beautiful(Bさんは美人だ)
no more(優った差はゼロだ。more=優った、no=差がゼロ)
than you are(beautiful)(Aさん、あなた[が美人である]より)
英語は新情報は後ろに回ります。
全盛期のAKBの総選挙で、徳光さんが2位の発表(2位の発表=1位の発表なので意味は大きいですよね)の時に、「大島○子さんが2位です」では…
しらけますよね。
「2位は…………」として、新情報である大島◯子さんは後ろに回します。(「2位」という情報は、旧情報なので前に置かれています)
「Bさんが美人だ」と言うのはAさんが散々言っていることなので旧情報です。
いわゆる鯨構文では、thanの前の内容は、相手が散々言っていて聞いている人間がイライラしている旧情報が来ます。
その旧情報とあること(=相手にとって新情報)が優っている(=more)差がゼロだ(=no)、というのが鯨構文の本質です(否定語「ない」は無関係です。証明していると思いますが?noはもう訳しました。なぜ2回訳す??)。
「Bさんが美人だ」とか「鯨は魚だ」と散々言われて、「何言ってんの、あなただって美人じゃない、自分が美人だって分かってないの?もっと自信を持ってよ。私、あなたの大ファンなのよ」とか「鯨が魚?哺乳類でしょうが!」と聞いている人がイライラしてきます。
そしてついに限界に達して「Bさんが美人だ」というのは「Aさん、あなたが美人であるのより優っている差がゼロだよ」、「鯨が魚だ」というのは「馬が魚だというのより優っているのがゼロだ」思わず口をついて出てしまったのです。
Bさんの文章の時、thanの後ろは100%のことです。
「Bさんが美人だというのは、Aさん、あなたが美人であるより優った差がゼロだ」→「Bさんは美人だが、あなただって匹敵する美人よ」
これを日本の鯨構文の公式に当てはめると……「Bさんが美人でないのは、あなたが美人でないのと同じことだ」と真逆の意味になります。(鯨構文を否定で訳す癖は恐ろしいのです)
「鯨」の時には、thanの後ろは0%のことです。
「鯨が魚だとあなたは散々言っているが、それって馬が魚だというのより優った差がゼロだよ」→「鯨が魚だなんているのは、馬が魚だっていうのと同じことだよ」
このようにthanの後ろにはさまざまな可能性が来ます。(今回は0、2〜30、100ですが、他にも色々あると思います。確かに0が多いかもしれませんが、他の可能性も十分にあります)
日本の英語業界のように0%と決めつけているのは明らかに間違いです。
以前からthanの後ろは可能性はたくさんあるよな、と思っていましたが、具体化するきっかけはある大学教授の論文です。
しかし、2〜30%の文章で間違ってらっしゃったと思います。(鯨構文も、thanの後ろのスロットと前のスロットが同じ…で唐突に「ない」がthanの前後に出てきます。何の説明もありません。間違いだと思います。)
ヒントに感謝はしつつ、否定でお考えになるのはやはり間違いではないでしょうか、と上申させて頂きます。
引用先はこちらです。→リンクをクリックするとWebページではなく、PDFのダウンロードが始まりますのでご注意ください。クジラの公式の謎を解くhttps://kobe-cufs.repo.nii.ac.jp › ... (P8(19)でいきなり説明で「ない」が出てきますが、私にはいっさい「ない」が出てくる根拠が示されていないとしか見えません。(18)までの説明に基づくなら肯定文での訳になります。P9(22)でも「観光客は合衆国にとって危険な存在ではない」というのは、すでに説明したように間違っていると思います。鯨構文を否定で訳す癖は、偉い大学教授の脳まで侵食しています。)
斎藤秀三郎先生の訳では、thanの後ろを肯定で訳しno more 〜than…を「…同様に〜ない」と訳し、
「鯨は魚ではない、それは馬並みだ」のように訳すのも、thanの後ろを100%ないことだと決めつけていますので、不正解であり(受験では○がもらえるのですが)、結果何もケリはついていないです。
鯨構文にケリをつけるには、肯定で訳すというのが一択です。
偉い先生が言っているからではなく、塾・予備校・学校・大学の先生、あなたの頭で考えましょう。
否定は絶対におかしいですよ。
じゃぁどう教えたらいいのか。
私のやり方で教え、日本中間違えているからとりあえず我慢して否定で訳しておきな。
私が塾でいつも言っていることです。
当面はこれが最善だと思います。
…なぜ間違っている人間の顔色を窺わなくてはならないのか。
ここら辺が日本の英語業界の闇であり、私が英語の偏差値78.8でも英語業界に近づく気持ちにならなかった部分です。
イスパニア語を専門にして、英語は他人の言う事は聞かないで全て自分でやろう、と思いましたがその判断は正しかったと実感しています。
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